「身体の調子が良くならない」「スポーツをしていてなかなか上手くならない」そういった悩みを抱えた経験はありませんか?
今回はそんな悩みを解決するうで体とあし体の見分け方についてご紹介していきます。
うで体・あし体ってなに?
まずはうで体・あし体とはどういったものなのか説明していきます。
うで体・あし体とは?
トップアスリートのアスリートコンサルタントとして活躍されている鴻江寿治氏は、スポーツトレーナーとして多くのアスリートを見てきた中で、体型や年齢、性別や利き手などの違いに加えて人間の体の違いにはもう一つ大きな違いがあることに気づきました。それがうで体=猫背型か、あし体=反り腰型という違いです。
うで体・あし体はいつから分かれる?
お母さんのおなかの中にいるとき、赤ちゃんは丸まっている猫背です。赤ちゃんは利き腕に関係なく、ほとんどが両手で家具などにつかまり、重心は右足にあり、体は右側に傾いています。なぜかというと、人間は右側に大きく重い肝臓があって、横隔膜も右側が大きく、右側の腹斜筋が縮んでいるためです。これらのことから人間は生まれたときは、うで体だと思われます。
やがて身長が伸び、内臓も成長し、体が固まってくると、その間の生活習慣や環境、遺伝などによって、そのままうで体の人と、あし体へ変わる人に分かれていきます。
うで体・あし体を知る重要性
あなたは日々、いろんな身体のトラブルや悩みを抱えていませんか?
頭や肩、腰、ひざ、ひじなどが痛い。なんとなく気分がすっきりしない。寝つきが悪く、目覚めがよくない。このようなトラブルや悩みの原因は「自分の体を知らない」からかもしれません。うで体か、あし体か。自分がどちらのタイプかわからないまま、知らぬ間に逆の体の使い方、動きをしていると、それが身体のトラブルや悩みを引き起こしている可能性があります。自分のタイプを知ると、本来自分が持っているポテンシャルを引き出すことができ、よりよい生き方に変えていくことができます。
うで体・あし体の特徴
見分け方の紹介に入る前に、うで体とあし体にはどのような身体的特徴があるのかを説明していきます。
うで体の特徴
うで体の1番の特徴は前述のとおり、背骨が前に丸まった状態の、いわゆる「猫背」です。日常生活の多くの場面で、気づかないあいだに猫背になっています。
両肩のラインを見ると本人はまっすぐで両肩が地面と並行に立っているつもりでも少しの傾きですが、左肩が上がり、右肩が下がる。腰は左腰が開いて、右腰がかぶる。首は左前に垂れるように傾く傾向があります。
そしてうで体の人によくある症状としては下記のようなものがあります。
- 肩こりが起きやすい
- 左の背中が張りやすい
- 左ハムストリングを張りやすい
- 左足首を捻挫しやすい
- 左すねが張りやすい
- お尻は左側が硬くなりやすい
- 胃もたれが出やすい
うで体はこのような身体の特徴から、何かの動作を始める時は、上半身、主に手・腕から始動するようにしたり、手でタイミングをとりながら行うと本来の能力を発揮しやすくなります。
あし体の特徴
あし体は先にご紹介したうで体と全て逆の特徴を持っています。あし体の特徴は身体の上半身が後方にそりかえった、いわゆる「反り腰」です。日常生活の多くの場面で無意識に身体は反り返っています。
両肩のラインは、こちらも少しの傾きですが、右肩が上がり、左肩が下がる。腰は右腰が開いて、左腰がかぶる。首は右後ろに反るように傾いています。
あし体の人によくある症状としては、下記のようなものがあります。
- 腰痛が起きやすい
- 右の背中が張りやすい
- ふくらはぎをつりやすい
- 右足首を捻挫しやすい
- 右すねが張りやすい
- お尻は右側に痛みが出やすい
- 坐骨神経痛になりやすい
あし体はこのような身体の特徴から、動作を始める時は、下半身、主に足・脚から始動するようにしたり、足でタイミングをとりながら行うと、本来の能力を発揮しやすくなります。
うで体・あし体の見分け方7つ
うで体・あし体それぞれの特徴を理解したところで、自分がうで体なのかあし体なのかをセルフチェックする7つの方法をご紹介します。
鏡でチェック
まずは鏡の前に立って自分の立ち姿を映してみましょう!鏡の前に立てば、自分がうで体か、あし体か一目瞭然です!
軽くストレッチをして全身の力を抜いて、リラックスした自然な形で鏡の前に立つと良いです。
チェックするポイントとしては下記の通りです。
・両肩のラインは左右どちら側が上に傾いているか
・腰のラインは左右どちら側が上に傾いているか
・手の位置は左右どちらが下がっているか(肩の傾きが確認できます。)
・ヘソが左右どっちを向いているか(骨盤の開きが確認できます。)
前述の通り、左肩が上に傾いており、腰は左腰が開き、右腰がかぶっていれば、うで体。
逆に右肩が上に傾いており、腰は右腰が開き、左腰がかぶっていれば、あし体と判別することができます。
足の組み方
日常生活の中で座ると無意識のうちに足を組む人は多いと思います。いすに座って無意識のまま自然と足を組んだ時、左右の足のどちらが上になるかというのは人によって決まっています。
無意識に足を組んだ時、右足が自然と上にくる人はうで体。逆に左足が自然と上に来る人はあし体と判別することができます。
女性座り
床に正座やあぐらではなく、両足を左右のどちらかに曲げて座る、いわゆる「女性座り」でも判別できます。左側に両足が来る方が楽な人はうで体。逆に右側に来る方が楽な人はあし体です。
前屈と後屈
体がやわらかいか、かたいかに関わらず、前後どちらに体を曲げやすいか。それによって、うで体かあし体か判別することができます。
うで体=猫背型は、背中が前方に丸まっているので、反対に後ろへ曲げてバランスを整える後屈が得意です。
逆にあし体=反り腰型は背骨が後方に反り返っているので、体を前方に曲げてバランスを整える前屈が得意です。
とにかく体がかたくて、前屈も後屈もどちらも得意とはいえないという人は、少しでも前後どちらかに曲げてみて、どちらがより苦しくないのかという点で判断してください。
「やすめ」のポーズ
学生時代によくやった「やすめ」のポーズ。本来は両足の親指の先は左右の位置が同じ一直線に揃うように指導されますが、長時間やっていると、楽したくなって、どうしても左右のどちらかの足が前に出てきますよね。
そのときに、自然に前へ出ている足をチェックすると、うで体か、あし体か判別できます。なぜなら腰の左右どちらが開いているか、かぶっているかによって決まるからです。
左足が前になっている人は、腰の左側が開き、右側がかぶっているので、うで体。逆に右足が前になっている人は、腰の右側が開き、左側がかぶっているので、あし体となります。
いすの座り方
無意識にリラックスした状態や、リラックスするために座る場合、同じいすでも、うで体とあし体では座り方に違いがあります。
少しだらしない姿勢ですが、いすに浅く座り、背もたれに体を預けるように座りたがるのはうで体。それに対し、いすの背にもたれず、背筋が伸びて、深く座りたがるのはあし体と判別できます。
また、うで体は腰がたった状態の正座が比較的、楽にできます。逆に、あしからだは腰を落として、背中を楽にしたいので、あぐらが好きという傾向があります。
足踏み
その場に立って、目を閉じた状態で足踏みをしてみてください。足踏みを繰り返していると、無意識のうちに左右どちらかの側に体が傾いてくるのを感じますよね。
足腰が強く、体幹がしっかりしている人はすぐには傾くことはありませんが、長く足踏みを続けていると少しずつどちらかに傾いてくるはずです。
その時、左側へフラッとする人はうで体。逆に右側へフラッとする人はあし体です。
なぜなら、うで体は左肩上がり・左腰開きのため左側にフラッと傾き、あし体は右肩上がり・右腰開きのため右側にフラッと傾いてしまうのです。
うで体・あし体に合った暮らしを快適にする方法
服選び
うで体・あし体それぞれの特徴に合わせた洋服選びをしないと、集中できなかったり、気分がすっきりしなかったり、さらにはイライラする、本来の力を発揮できない、体調を崩しやすくなるといった問題が起こる可能性があります。
基本は、上半身でタイミングをとり、下半身で力を生み出すうで体の場合、上半身はゆったりとさせて下半身を締めたウェアを。逆に、下半身でタイミングをとり、上半身で力を生み出すあし体の場合、上半身を締めて下半身をゆったりさせたウェアがパフォーマンス向上につながります。
くつ選び
うで体=猫背型は母指球(足裏の親指の付け根)に重心があり、かかとを引きずるように歩くので、かかとの滑りが悪いくつを履き続けると疲れが生じやすくなります。うで体にはヒールが高くて甲が硬いくつがおすすめです。
あし体=反り腰型はかかとに重心があり、足の裏を持ち上げるように歩くので、かかとの滑りは気になりません。ですが、かかとに重心があるため、ヒールが高いと反りが強くなり、腰に負担がかかり、腰痛を引き起こしやすくなります。あし体にはヒールが低く、できるだけ平らなくつがおすすめです。
イス選び
最近は長時間すわっても疲れない、仕事や勉強に集中できるデスクチェアが開発されていますが、うで体とあし体ではいすの選び方も異なります。
うで体は骨盤をゆるめすぎないように体全体を下から持ち上げるイメージの硬めで座面がやや前傾かフラットのイスがおすすめです。ヒザを曲げて座るとだるく感じるので脚の高いイスが良いです。
あし体は背中が反っているので、逆にゆるめてあげるように柔らかくてクッション性が高いイスがおすすめです。脚の低いイスに座り、ヒザを曲げて座ると良いです。
寝具選び
一日動かし続けた体を休めて、疲れをとるために寝るからこそ、寝具選びはとても大切です。体に合わない寝具を選んでしまい、肩こりや腰痛を引き起こしてしまった経験があるかたもいるのではないでしょうか?
寝具選びも、基本的には「イス選び」と同じです。骨盤や首、背骨など体全体がゆるんでいるうで体は、ゆるみすぎないように硬いマットレスに硬めの枕を選びましょう。
逆に、体全体が詰まっているあし体は、ゆるめるように柔らかいマットレスに柔らかめの枕を選びましょう。
うで体・あし体を判別して快適な生活を送ろう!
ご紹介した「うで体・あし体の見分け方」と「うで体・あし体にあった物の選び方」を実践すれば、身体のトラブルも減り、パフォーマンス向上につながりますよ!
最後に、今回ご紹介した「うで体・あし体の見分け方」をもう一度おさらいしておきましょう。
- 鏡で立ち姿をチェックする
- 足を組んでどちらの足が上に来るか
- 女性座りをして両足がどちら側に来ると楽なのか
- 前屈と後屈どちらが得意なのか
- 「やすめ」のポーズでどちらの足が前に来るか
- いすを浅く座るのか、深く座るのか
- 足踏みを続けてどちら側に傾いてくるのか